室町 | 「そういえばもうすぐ鳳君の誕生日ですね。」 |
神尾 | 「へぇ。そうなんだ。」 |
鳳 | 「えぇ。まぁ…。でも、室町君。よく知ってるね。」 |
室町 | 「そりゃね。山吹でのデータ収集は俺の仕事だからね。」 |
海堂 | 「へぇ。そうなのかよ。」 |
切原 | 「そういやぁさ、2年ってデータテニスするやついないよな〜って家の先輩が言ってたけど、ちゃんといるじゃんな。」 |
伊武 | 「…それってさ、ただ単に知名度が低いんじゃないの?山吹自体微妙なポジションだしさ…」 |
神尾 | 「(…深司の奴、前に試合で勝てなかったの根に持ってるんだよな…)」 |
室町 | 「………」 |
裕太 | 「あ、じゃさ、鳳。何かほしいものとかあるか?(とりあえず話をそらすか)」 |
鳳 | 「え?」 |
天根 | 「で も、そんなに高いものは、ダ メ だぞ。」 |
鳳 | 「う〜ん。いきなり言われてもな…あ、駅前のケーキ屋に飾られているデコレーションケーキがいいかな。あれならそんなに値も張らないし、みんなで楽しめるしね。」 |
裕太 | 「いいのか、鳳。そんな感じのもので」 |
鳳 | 「うん。去年はさ、クラスメートがね、図ったかのようにリストバンドばっかりくれてね、一気に十何個かもらっちゃったんだ。」 |
桃城 | 「あーわかるわかる。テニス部員だとテニス関連品が多いよな。道具とかは結構値が張るから、そこら辺が無難なんだしな。」 |
数日後、鳳を除いた2年生’sは例のケーキ屋にきていた
そのケーキはショーウインドに綺麗に飾られていて、とてもおいしそうに見えた。
店員 | 「はぃ。こちらのバレンタイン用商品でございますね。」 |
切原 | 「えぇっ〜!何々?これってバレンタイン用なの?」 |
店員 | 「はい。ですので2月14日の当日受け取りのみになっております。」 |
桃城 | 「おぃおぃマジかよ?」 |
神尾 | 「勘弁してくれよ〜。バレンタイン当日に男の俺たちが並んでるなんて寒すぎるぜ」 |
日吉 | 「お前が並ぶと見栄張るために買ってるみたいだよな。」 |
神尾 | 「俺はちゃんともらえる!…予定だ」 |
桃城 | 「へぇ?誰に?」 |
神尾 | 「……杏ちゃん……」 |
桃城 | 「……」 |
〜ルドルフ寮〜 | |
海堂 | 「…で、どうするんだよ?」 |
裕太 | 「どうするんだ?って…、鳳が欲しがってるんだから買わなきゃなんねーだろ。」 |
桃城 | 「でも時期が悪いよな。悪いよ。大体なんであいつバレンタインになんて生まれてるんだよ。」 |
室町 | 「そんなこと言ったってしょうがないぜ。桃城。」 |
不二 | 「やぁ。いったい何を揉めているんだい?」 |
海堂 桃城 | 「不二先輩!」 |
裕太 | 「あぁ。兄貴か。何の用だよ?」 |
不二 | 「ふふふ…裕太が困ってるな〜と思ってね。」 |
神尾 | 「そんなことまでわかるんですか?」 |
不二 | 「まぁね…海堂だって葉末君になにかあったらわかるだろ?」 |
海堂 | 「何となくでしたら…」 |
神尾 | 「はぁ〜凄ぇな。」 |
不二 | 「本件はこれ。姉さんの作ったアップルパイ。たくさんあるからみんなで分けて食べなね。」 |
桃城 | 「うわ。うまそう。やりぃ!」 |
日吉 | 「本当においしそうですね…ありがとうございます。」 |
裕太 | 「…なぁ、兄貴。2/14って、暇?」 |
不二 | 「2月の14日…?バレンタインデーかい?今のところ予定は入ってないけど…もしかして裕太。僕と過ごしたいの♪」 |
裕太 | 「な。馬鹿!ちげーよ。2/14さ、ケーキ取ってきて欲しいんだけど…」 |
不二 | 「別にいいけど、何で僕なの?」 |
裕太 | 「いや。ほらさ、兄貴だったら女に混じってケーキ並んでても違和感なさそうだしさ」 |
不二 | 「それって僕が女みたいだってこと?」 |
裕太 | 「あ、いや。そんなことは…」 |
海堂 | 「(げ!不二先輩怒ってんじゃねーか?)」 |
不二 | 「却下。だいたい僕たち兄弟なんだから、僕に違和感ないんだったら裕太にだってないはずだよ?」 |
裕太 | 「いや。さすがにそれはないだろ」 |
不二 | 「わかった。姉さんにウイッグとか借りて明日持ってくるから、自分で何とかするんだよ。」 |
裕太 | 「え?兄貴?」 |
不二 | 「じゃ。僕はそろそろ帰るから。それから桃に海堂。明日も練習有るんだからあんまり遅くならないうちに帰るんだよ。」 |
海堂 | 「…なぁ、桃城…」 |
桃城 | 「不二先輩むちゃくちゃ怒ってたよな。明日の練習厳しそうだよなぁ…生きて帰れるかな?」 |
切原 | 「あららぁ、お二人さん。ご臨終様」 |
桃城 | 「なにがご臨終様だ!元はといえばお前が悪いんだぞ!」 |
切原 | 「何でそうなるんだよ!?」 |
日吉 | 「落ち着け。桃城。今回は珍しくこいつのせいじゃない。」 |
切原 | 「珍しくって、どういうことなんだよ?」 |
日吉 | 「大体はおまえと神尾が揉め事を起こすって意味だよ。」 |
伊武 | 「日吉が仲裁に入るのも珍しいんじゃない?…いつもはさ、我関せずって顔してるのに…」 |
日吉 | 「まぁな。本来この役目の奴がここにいないからな。」 |
切原 | 「まぁ。裕太が女装してケーキを買いに行くって言うのは決定事項として、も一人ぐらいいたほうがいいんじゃない?」 |
裕太 | 「ちょっとまて!切原!何でそうなるんだよ?」 |
切原 | 「不二さんが決めたことでしょ?覆せるのかなぁ?」 |
裕太 | 「………」 |
天根 | 「じ ゃ ん け ん で 決めちゃおーぜ」 |
伊武 | 「……天根…それ本気で言ってるわけ?」 |
桃城 | 「しょーがねーよな。しょーがねーぜ。公平にじゃんけんで決めますか」 |
伊武 | 「……じゃんけんが公平なわけないじゃん……」 |
裕太 | 「何伊武はぼやいてんだ?」 |
神尾 | 「あ、そっか。深司じゃんけん弱いもんな。」 |
切原 | 「お、そうなの?じゃ、お前で決まりな!」 |
伊武 | 「………………じゃんけんしよう。」 |
伊武 | 「………………やっぱり俺が負けるんだよね…」 |
桃城 | 「あぁ、まぁ。気を落とすなよ。気楽に行こうぜ」 |
裕太 | 「当事者じゃないからそういうこと言えるんだよな。」 |
海堂 | 「桃城が女装だったら気持ち悪いだけだが、お前だったらそこそこ見えるんじゃないか?」 |
桃城 | 「んだと?マムシ?てめーだってそうだろ?あ、そーいや名前薫なんだからいいんじゃねーか?薫ちゃーんなんてかわいい響きじゃんかよ。」 |
海堂 | 「な、その名で呼ぶんじゃねー!だったらてめーは桃子ちゃんでもやってろよ。」 |
伊武 | 「なに?やりたいの?だったら遠慮しなくていいよ。変わってあげるからさ…」 |
桃城 | 「ご冗談を」 |
2/14 ケーキ屋前
伊武 | 「うわ…凄い人ごみ」 |
切原 | 「開店1時間前だって言うのに凄い気合の入りようだね〜」 |
裕太 | 「俺たちあんなとこに並ぶのかよ?」 |
桃城 | 「あーだめだろ、裕太。俺なんていっちゃさ。」 |
神尾 | 「そ-そ-。あたし…だろ?深司もだぞ。」 |
伊武 | 「…神尾…人事だと思って…覚えてな…」 |
室町 | 「じゃあ、俺たち準備しなきゃいけないから帰るね」 |
天根 | 「が ん ば れ よ」 |
伊武 裕太 | 「………」 |
切原 | 「なぁなぁ。どう思う?あの二人?」 |
日吉 | 「どう思うってなにがだよ?」 |
桃城 | 「伊武は結構綺麗に化けたんじゃん。ただすっごく根暗そうだけどな。」 |
神尾 | 「裕太も鬘かぶったら結構かわいいじゃん。やっぱ不二家の血だよな。」 |
海堂 | 「俺が言える筋合いじゃねぇけど、ごっつすぎじゃなぇか?」 |
室町 | 「そりゃしょうがないっしょ。」 |
切原 | 「ま、さ。並んでた子達もそんなにかわいい子いなかったし、違和感なくっていいんじゃない?」 |
桃城 | 「鳳、誕生日おめでとう!」 |
鳳 | 「あ、ありがとう」 |
日吉 | 「ま、とりあえず飲めよ…サイダーだけど。」 |
鳳 | 「サンキュー、日吉。」 |
神尾 | 「フルーツポンチも有るぜ♪なにせ、俺が作ったんだからうまいぜ」 |
天根 | 「缶詰のフルーツが缶詰状態…ぷっ」 |
海堂 | 「(…こ、こらえろ薫!…)」 |
鳳 | 「(…スルーだ長太郎!…)あ、あれ?そういえば伊武君に裕太君は?」 |
切原 | 「あ?そういやまだか…遅ぇな、あいつら」 |
裕太 | 「ただいま〜」 |
伊武 | 「……」 |
鳳 | 「あっ。お帰りなさい…って、どうしたんです?その格好?」 |
室町 | 「う〜ん。格好が変なのは理由があるんだけど、やにボロボロだね」 |
桃城 | 「なんだよ。そんなに大変だったのか?ケーキ買うの」 |
裕太 | 「あ、いや。ケーキを買うのは恥ずかしかったけど、そんなに大変じゃなかった。問題はそのあと。」 |
伊武 | 「…女扱いされた。…」 |
神尾 | 「は?」 |
裕太 | 「帰りにさ、『チョコやんなきゃ振り向いて繰んない奴なんか辞めて、俺たちと遊ばない?』って感じでナンパされてさ、無視すりゃいいのに、伊武の奴殴りかかっちゃってさ、」 |
神尾 | 「あ〜、深司、喧嘩っ早いからな」 |
切原 | 「なになに?喧嘩?な〜んだ、俺も呼んでくれればよかったのに」 |
海堂 | 「ばか、黙ってろ。話がすすまねぇ。で、どうしたんだ?」 |
裕太 | 「そしたらさ、大仏仮面とカメラ魔人なんていう変な格好した奴が出てきてさ…」 |
鳳 | 「なんか特撮みたいだね。」 |
伊武 | 「…ここは俺たちに任せていくんだ…なんていうからさ、気持ち悪くって…」 |
切原 | 「大仏仮面とカメラ魔人ねぇ。な〜んか、引っかかるんだよね。」 |
天根 | 「…………!!……やるな。あの二人」 |
裕太 | 「ともかく、俺たちが苦労して買ってきたケーキだ。ありがたく食べろよ。」 |
桃城 | 「はぃはぃ。ご苦労様〜」 |
鳳 | 「ははは…かえって大変なもの頼んじゃったみたいだね」 |
裕太 | 「まぁ、な。とりあえず誕生日おめでとう。鳳」 |
伊武 | 「……おめでとう…」 |
鳳 | 「ありがとう、伊武君、裕太君。」 |
長々とお付き合いありがとうございました
長太郎君のハピバ祝い…だったんですけど、あまり出演してませんね(><)
今回わかったことは、長太郎がいないと2年生が揉めたらとめてくれる役回りがいない…ってことです
年下なのに保護者的な彼なんですね♪
今年も鳳長太郎君にとって幸せな年になりますように”†”
ちなみに、お気づきの方は多数おいででしょうが、大仏仮面は橘兄、カメラ魔人は不二兄です
べたべたですね