風薫る春。

 丁寧に手入れされ独特の美の世界をもつとある日本庭園に2人が向かい合って正座していた。

 「すまない。遅くなったな。」

 彼らの付き添い人のような、2人より年上であろう男性が4人入ってきた。

 奇抜な橙色にもかかわらず、上手に着こなした二人は右側に、
 逆に合わせ易い茶をベースにしてはいるが、ぎこちない二人は左側に分かれた。

 「此度は良縁に恵まれ、」
 「お、おぅ…」

 「本来は部長である幸村がこの場に臨むのが筋なのだが…生憎幸村は病に臥せていてな。」
 「かわりはこの柳蓮二が務めさせて貰おうと思う。」  

 「そ、そうか。俺が聖ルドルフ部長の赤澤吉朗だ。そして、こっちが副部長の野村拓也。」
 「は、はひ。よろしくお願いひます」
 「……」

 カポーン
 鹿威しの凛とした音が響き渡る。
 高だか数分のことであろうが、中心の二人には幾刻ものように感じられる。

 「ふむ。お互い挨拶は一応すんだみたいだな。あとは若い二人に任せるとするか。」
 「あ、あぁ。そうだな。」
 「その言い、妙に爺くさいな。弦一郎。」
 「だ、だまれ。蓮二」

 一段落ついて、各々が立ち上がろうとしたとき、襖が大きく開いた

 「ちょっと待って!僕はそんなの認めないよ!」

 「ふ、不二周助!」
 「げ。兄貴…」


 そこに仁王像のように青学の天才不二が立ちはだかった。

 「不二…青学のおまえには関係ないことではないのかな?」
 「関係ないだって?裕太のことで僕に関係ないことなんてないさ。」
 「これは立海と聖ルドルフの問題だ。部外者は引っ込んでいてもらおう!」
 「嫌だね。」
 「なら力尽くでもどいてもらう、表に出ろ。」
 「ふふ、面白いこと言うね。相手になるよ。」  

 せっかくまとまりかけていた展開を、台無しにされた真田は、不二とともに外へ出てしまった。

 「ふぅ。残念だが交渉が中断されてしまったな。続きは今度にするか。」

 「あのさぁ、俺たちただ練習試合したいだけなんだよな。」
 「そうだぜ。それなのにどうしてこんなに面倒くさいことしてんだ!?」

 「ぬぉおお。こんな動きづらいもんまで着せやがって!」
 「あ、赤沢。落ち着きなよ。」


 友達がバイトしてる料亭で、「弟の見合いに割り込んできた兄」の話を聞いて書いた実話に基づくお話です♪
 赤也と裕太はただ試合がしたいだけなんですけど、保護者たち(先輩)がしゃしゃり出てきっちゃったんです。
 まぁそれだけ先輩たちに愛されてるんですよ♪〜
 

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