菊丸+裕太



『付き合ってくれたお礼に英二様特製ふわふわオムレツをご馳走してあげる♪』

英二さんが予約していてシューズを取りに行った帰り道
本当は兄貴と一緒に行く予定だったんだろうけど兄貴の都合がつかなかったので俺がついていった。

「え?本当ですか!俺ちょっとおなかがすいていたんですよ。すっごく嬉しいです!」
「おーし。じゃ早速家にレッツゴー!」
「あ、まってくださいよ!!」
「ユータ、早く早く!!」

そういうといきなり全力で走り出した英二さん。
この人は本当に元気がいいとおもう。
一緒にいるととても楽しくて面白い。


「はい。出来上がり♪熱いから気をつけるんだよぉ」
「あ、はい。ありがとうございます」

本当にやわらかくておいしそうなオムレツ。

「じゃあ、いただきますね。」
「どうぞどうぞ…って俺も食べよっと」

一口食べると口の中に心地よい甘さが広がってきた。

「うわぁ 英二さん。これすっごくおいしいですよ!」

飾り気のまったくないストレートな感想。
兄貴ならもっと気の効いたセリフを言いそうだけど俺にはこれが精一杯。

「だろだろ?俺の自信作♪しかも今回はユータ専用味付け♪」
「え?」

俺専用? いきなり言われてちょっとびっくりする。

「前にさぁ。不二が言ってたんだ。裕太は甘いものが好きだってね。」
「あ。そうなんですか…」
「そうだよ。でも俺もこっちの味付けのほうが好き♪
前さぁ不二にも作ってやったんだけど、その上にいーっぱいタバスコかけるんだよ。信じられる??」
「ははははは…(汗」

食事しながら、いっぱい楽しい話をしてくれる英二さん。
どの話も面白くって俺は興味津々。


「あ〜ぁ、不二が羨ましいにゃ〜。」
「え?」
この間部活仲間と見た映画の感想を俺がしてるときに突然英二さんが行った。
「ん〜。なんかユータみたいな弟ほしいなぁなんて思っちゃってね。
ほら、俺も末っ子じゃん。たまーに下がほしくなるんだよね。」
ちょっとその気持ちもわかる気がする。
俺だってたまに弟ほしいなぁって思うこと有るから…
「あ…でも越前とか…」
「にゃ?おチビはかわいいよ。桃や海堂もかわいいと思ってるよ。
でもにゃーんか俺よりしっかりしてるんだよね〜。
だからあいつらが弟だとなんかオレのほうが情けない兄ちゃんっぽいじゃん。」
にゃははと英二さんが笑う。
「…それってオレはしっかりしてないってことですか?」
ちょっと拗ねて俺が聞くと、
「にゃ!そ〜んなことないって。ただユータは弟属性だってこと♪」
「なんすかそれ??」
「あ〜気にしない気にしない♪あ、そ〜だ。シュークリーム食べる?きのう姉ちゃんが買ってきたんだけどさ…」
「そんなことより英二さん…」
「あ、じゃあユータ、シュークリームいらないんだ。」
「そんなこといってませんって。」
「そ〜だよね♪じゃオレ紅茶の準備してくるから食器棚から何個か小皿だしといてくれる?」
「あ、ハイ。」

「にゃはは。オレの勝ち♪〜」
といいながら英二さんは機嫌よくティーポットにお湯を入れている。
俺は?と思いながら小皿にシュークリームを置いていった。


楽しい時間はあっという間に過ぎるもので気が付いたら6時を回っていた。
そろそろ帰らないとまずい。
「あ、英二さん。俺はそろそろ…」
「にゃ?あ、もうこんな時間かぁ〜。今日はとっても楽しかったね♪」
「あ、ハイ。俺もすっごく楽しかったです。また来ていいですか?」
「もっちろんOK。また遊ぼうね。あ、ユータ一個だけお願い聞いてくれる?」
「え?なんですか?」
ちょっとまじめな顔をして英二さん。心なしか俺もちょっと身構える。
「あ、そんな難しいことじゃないって。一回いわれてみたかったこと♪」
強面になっている俺に英二さんはさっきと同じような笑顔を向けていった。
「えーじにーちゃん…って呼んでみて♪」
「はぁ?」
「い〜じゃん、い〜じゃん。そうやって呼ばれてみたかったんだから。」
「え、そんなこといったって…」
「ユータだってわかるだろ?オレの気持ち。こんなこと頼めるのユータしかいないんだから。」
そりゃ俺だって言われたいと思ったことがないってわけじゃない。
仕方ないなと思いながら。
「わかりました。英二に…」



なぜかいつも以上に大きな携帯の着信メロディ。
この音はあいつだ。
早く出ないと後がうるさい。


「なんだよクソ兄貴…」
『やぁ。裕太。こんな遅くまでいったいどこに行ってるんだい?』
「あ?何言ってんだよ。兄貴が英二さんとの約束すっぽかすからわるいんだろ?」
『英二と約束?してないよそんなの。』
「え?だってよ。」
『ともかく。もう遅いんだから、帰ってくるんだ…いいね?』
「あ、おい兄貴!」

「…ったく…」
勝手にかかってきて勝手に切れた携帯を苦々しく見てると、
「不二から?」
「あ、はい。まったく自分勝手なんだから…いつもお世話かけてます。」
「にゃはは…なれっこなれっこ。う〜ん英二君、お兄ちゃんになる計画は失敗だにゃ〜。」
「え?」
「にゃんでもないにゃんでもない。
さ。早く帰らないと。不二の機嫌が悪くなっちゃうよ。」
「あ。そうですね。ごちそうさまでした。
今日は本当に楽しかったです。」
「そっか〜また遊びに来てね。」
「あ、はい。それでは失礼します。」
「ばいば〜い」




その夜の菊丸邸…

「う〜ん。もうちょっとだったのににゃ〜。
でもユータのハートのつかみ方はわかったぞ♪
まずは獲付け獲付け♪
お〜っし。次はふわふわホットケーキでチャレーンジ!!」

「こら〜英二!うるさ〜い!今何時だと思ってんのよ!!」
「わわ。姉ちゃん ごめ〜ん」
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