少し肌寒く放ってきたが、気持ちのいい早朝


「ふぁ〜あ」

間の抜けた声をあげ、頭を掻きながらこの家の主がキッチンに入ってきた。

奈々子「おはようございます。」
南次郎「お、はよう。朝からいい匂いだな〜」
奈々子「ええ。きょうはちょっといいお味噌が手に入ったんですよ。はいどうぞ。」
南次郎「おっ、確かにうまそうだな。…っとその前に…」
奈々子「どうかしましたか?」
南次郎「新聞取ってくるわ。」
奈々子「あら。新聞でしたらもうリョーマさんが持ってきてますよ」
南次郎「い゜!?」
リョーマ「はい。新聞。相変らず朝遅いよね。」
南次郎「……」
リョーマ「……」
南次郎「……」
リョーマ「どうしたの?」
南次郎「い…いや…珍しいな…なんて…な…」
奈々子「まあまあ二人とも。朝ご飯にしましょ。」
南次郎「お…おぅ!そうだな。」







南次郎「は〜。食った食った。すごくうまかったぜ。」
奈々子「お粗末さまです。何か飲みますか?」
南次郎「そぅだなぁ。コーヒーもらおうかな。」
奈々子「はいはい。」
リョーマ「ついでだから俺が入れるよ。」
南次郎「ヒィッツ…」


 南次郎はこの世の終わりのような引きつった顔をした。
 ありえない…ありえなさすぎる。
 あの息子(リョーマ)が進んで自分に何かするなんて…
 すがすがしく気持ちのよい朝であったが、それは嵐の前の静けさか、地球崩壊前の一瞬の安息の時か…
 あ〜あの姉ちゃん、口説いときゃよかったな…なんて過去を悔やみ始めた。


リョーマ「なにさっきからぶつぶついってんの?はい、コーヒー。おれそろそろ時間だから学校に行くね…」
奈々子「あ。いってらっしゃいリョーマさん。忘れ物とかはありませんか?」
リョーマ「大丈夫だよ…じゃ…」


 そういうとリョーマは足早に越前家を後にした。
 あとにはコーヒーを持って固まっている南次郎と笑いを必死でこらえている奈々子が残された


奈々子「ふふふ…いつまでそんな不思議そうな顔しているんですか?」
南次郎「だ…だってよ…あいつが…こんなこと…何かの前触れじゃね〜か…?」
奈々子「今日何の日だか知っていますか?」
南次郎「あん?父の日は違うし…まさか…」
奈々子「ふふふ。そうですよ。」
南次郎「敬老の日?あんにゃろ〜人をジジイ扱いして…」


 南次郎の見当違いのセリフに奈々子は少し眩暈がしたが。


奈々子「今日は11月11日。南次郎叔父さまのお誕生日じゃないですか。」
南次郎「おっ!そうか!何だよ…またひとつ俺もミドルダンディーに近づいちまうのか…」
奈々子「………」
南次郎「………」
奈々子「今日のお味噌汁のだしもおすし屋さんやっている先輩の家から特別に分けていただいたんですって。リョーマさんも素敵なことをしてくれますね。」
南次郎「………」
奈々子「さて。きょうは帰りに大きなショートケーキでも買ってきますね。それでは私も出かけてきますね。」
南次郎「おぅ。気をつけてな。」


 パタパタと出かけていく奈々子を見送りながら南次郎はにやりとくちもとをゆがませた。


南次郎「きょうはいい日になりそうだぜ。」










 南次郎さん。お誕生日おめでとうございます
 (^-^)ノ∠※。.:*:・'゚☆。.:*:・'゚★゚'・:*オメデトウ
 ゲームやってたら。南次郎さんがチームメイトにお祝いされていたので急遽作成。
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