赤澤+裕太



 「おい、裕太。次はあれ乗ってみようぜ!!」
 「あ、はい。部長!」


 今日俺は部長と一緒に遊園地に遊びにきている。
 何でも部長の家に新聞を届けている人がくれたそうだ・・・
 いい新聞社だと思う
 俺の家のもここのにしてくれればいいのになぁ・・・なんて思ってしまう。
 
 
 「では、券を2枚いただきますね」
 
 俺たちは”回数券”とかいてある紙をちぎって係員に手渡す。
 そしてジェットコースターの順番を待つ。
 
 そういえば以前家族できたときは”フリーパス”とか言うのを買って勝手気ままにいろいろな乗り物を乗った。
 今はもう平気だけど、兄貴のやつはわざと怖い系のアトラクションばかり無理やり俺を連れて行った気がする・・・・
 なんか思い出したら腹が立ってきた。
 やっぱりあいつは子供の頃からやな奴だ!!
 
 「ん?どうした裕太?なんだおまえ怖いのか」
 どうやら兄貴に腹を立てていた俺はかなり難しい顔をしていたのだろう。
 「そ・・、そんなことありませんって部長!!これくらいなんともありませんって!!」
 思わず力んで大きな声で言うと部長は一瞬目を丸くたけど
 「そうかそうか、おまえだってこんなの怖くないよな。いやな以前金田ときたときマジでびびってたからこういうの苦手な奴もいるんだななぁ・・・っておもってな」
 ばしばし部長は俺をたたきながら大声で言った。
 しばらくくだらない雑談をしているいるうちに俺たちの番になった。
 
 
  
 「うおおおおぉおおおおおぉおお・・・・・」
 
 
 ジェットコースターが急降下しているときにいきなり部長が叫び出した
 俺はびっくりして
 「ど・・・どうしたんです?部長??気分が悪いんですか??」
 といまだキーンとしている方耳を抑えながら俺が聞くと
 「ばかだなぁ裕太。こういうときは思いっきり叫ぶもんなんだぜ。気持ちいいんだぜ。おまえもやってみろよ」
 と、とっても楽しそうにいった。
 『ふふふ・・・裕太どうしたの?そんなに強張っちゃって。大丈夫だよお兄ちゃんがついているからvvv』
 『やだなぁ裕太。そんなに大きな声で怖がることないのに・・・ほら俺のそばにおいで・・・』
 鉄仮面のような笑顔で笑う兄を思い出してしまった。
 「ほら、裕太。また急降下するぜ。次は思いっきり叫んでみろよ!!」
 部長がとても楽しそうに白い歯を見せていった
 『よぉし・・・
  
  
 「クソ兄貴の馬鹿野郎!!」
 
 
 『あぁ、すっきりした・・・
 
 
 かなりすっきりとして上機嫌な俺はその後もいろいろなアトラクションを部長と一緒に楽しんだ
 
 回数券というのは便利だと思う
 スリルがあったりとちょっと怖い系のは券2枚。子供でも大丈夫なゆったりした系なのは1枚。
 わかりやすい
 もし兄貴と来た時に回数券だったら使用枚数で大方予測がついたのに・・・
 兄貴め・・・図ったな
 
 
 「お、もう夕方か早いなぁ。」
 「そうですね。とっても楽しかったから時間がたつのがすごく早く感じられましたよね
。でもそろそろ帰らないと観月さんに怒られちゃいますね。明日も朝連あるし・・・」
 「そうだな。よし最後にあれのって帰ろうな。やっぱ最後のシメだろあれは。」
 といって観覧車を指差した
 「そう・・・なんですか・・・?」
 またやな記憶がよみがえる
 『裕太。今日は楽しかったね』
 そういってニコニコと俺の手を握ってべたべたしてくる兄貴
 狭い空間で二人っきりだから俺としては逃げ場がない
 すごくつらかった時間だった
 
 「絶対そうだ。乗ってみりゃわかる。特におまえにはな」
 特に俺には・・・?よくわからないけど部長が言うならそうなのだろう
 「そうですか、わかりました。」
 
 
 「俺の担任はな・・・
 「うわぁ。それはひどいですね。」
 観覧車に乗った俺たちは学校内のことなどの雑談に花を咲かせていた。
 頂上付近に差し掛かったときに部長はちょっとまじめな顔をして、
 「そういやおまえ、いきなりジェットコースターで青学不二のことを叫んだときにはびっくりしたぜ。」
 「///・・・///」
 「俺は観月達ほどお前のことを知ってるわけではないから偉そうなことはいえないんだけどな。
 あんまり背負い込むのはどうかと思うぜ。俺にも兄がいるからむかつくとかぶん殴りたいとか思うおまえの気持ちもわかるけどな。
 ほら、見てみろよ。」
 部長が指差した先は多分俺達の学校がある場所
 「あんなちっちぇとこですっげぇくだらないことで悩むんだぜ俺達。すげぇ馬鹿らしいだろ?高い所から見下ろすとそんなことどうでもいいくらいでかい気持ちになれるだろ。」
 あぁ・・・本当だ。この人といるととても気持ちいい・・・
 金田があそこまで心酔している気持ちがわかる気がする
 「観月に小言がみがみ言われてむしゃくしゃすると教会の屋根に登るんだ。あそこも結構気持ちいいぜ・・って、観月の悪口はまずかったかな・・・」
 部長はちょっといたずらっ子のように笑った
 「あはははは」
 普段は馬鹿だとか言われているけどこの人は部員への気配りができる人だ
 生え抜き、スクール組が仲良く入れるのもこの人の人柄のおかげなんだ
 もし俺の兄がこの人だったら俺はもっと素直になれたんじゃないかなぁ・・・
 ・・・と散々困らせた母と姉の顔が浮かんだ
 
 
 

 裕太の周りにいる数少ない元気でいい人赤澤部長
 二人なら青春まっしぐらなとってもいい先輩後輩関係が築けると思います
 20040716 saga
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