「ちょ・・・止めろって兄貴!」
 「だーめ。ただでさえそんな色のジャージと制服なんだから・・・ちょっと位目立つ色使わないとね」
 「だからって何でコンタクトなんだよ・・・」
 「だって学校の規則で髪の毛染めちゃいけないんでしょ。だったらコンタクトしかないじゃない。」
 「コンタクトはやだ。あれすっげぇいてぇんだぜ。」
 「うん。ちょっと違和感は感じるよね。そういぇばおそろいで買ったブルーのはどうしたの?S&H1のときはお洒落な兄弟(恋人)ペアルックvvとか思ってうきうきしてたのにS&H2のときはしてこなかったよね・・・。だから僕だってはずしたんだよ。」
 「あ、あれは観月さんにいわれたんだ。目が悪くもないのに無理してまでつけていくことはないって。かえって目に負担がかかって、プレイに支障をきたすって。やっぱ観月さんっていろいろ気を使ってくれるよなぁ(尊敬)」
 「ふ〜ん。観月・・・ね・・・(まったく余計なことばかりしてくれるよね。さてどうしてやろうかな・・・)」
 「それに『(僕の)裕太君はそのままでも十分かっこいいです』って言ってくれし、俺も無理に着飾りたくないからな・・・じゃぁな兄貴。」
 「あ、裕太!!(くっ・・・観月・・・絶対討つ)」


 『はぁはぁ…クソ…兄貴にかかわるとろくなことがない…」
 裕太はこれ以上口論になる前に周助から走って逃げた。
 逃げる…という行為は癪に障るが、これ以上言い合ったって絶対に勝ち目がないのはわかっている
 我ながら情けないなぁと思っていると
 ドンッ
 「いって・・・」
 「わっ すみません」
 周りの事を気にする余裕もなく走っていた裕太は二人組みの学生にぶつかってしまった。
 あまりぱっとしない二人組みだったが彼らが着ている白い学生服には見覚えがあった。
 『確かJr選抜の千石さんが着ていた服装だよなぁ…あの人が着ていると軽そうなイメージだったけどこの人たちだとまじめそうな学校に見えるなぁ・・・』
 と思ってボーっと見ているとぶつかったほうの隣にいた人が、
 「君、大丈夫かい?まったく東方、お前も運動やってる体なんだからよけることぐらいできただろう。」
 「いきなりだったからよけそこねたんだよ。南」
 「まったく。ところでどうしたんだい?あんなに全力で人通りの割と多い道を結構なスピードで走ってるなんて、何かあったのかい?」
 「え・・・あ・・・」
 南と呼ばれた方が優しそうに聞いてくるので思わず俺は
 「兄貴が俺のこと髪の色と洋服の色があまり変わらなくて地味だから少しは違った色を取り入れてお洒落しろって迫ってきて・・・」
 『ピクッ』
 なぜか穏やかそうなその二人からちょっとやな雰囲気を感じて俺は言葉を止めた。
 なんか俺ヤバイこといっちゃったのかな…、と思っていると
 「「別に地味だっていいじゃないか!!」」
 「は・・・はぃいっつ」
 いきなり二人が大声で言ってきたので思わず間抜けな返事をする俺。
 「いいか。べつに地味だってきちんと存在している価値があるんだ。」
 「派手なプレイだけできればいいってもんじゃない。基本に忠実なことが勝利の秘訣なんだよ。」
 「は、はぃ そうですよね…」
 「たとえ目立たなくったって全国区クラスなんだよ!」
 「部長は俺なんだ!!」
 「・・!!・・」
 「・・・!!・・・!」
 
 何かの不満が爆発したらしくよくわからないことを叫びだした二人に俺はどうすることもできずにただ見ていることしかできなかった
 
 「あれ?めっずらしいなぁ 南チャンや東方クンがあんな目立つことしてるなんて。」
 調子のいい感じの声が後ろから聞こえたので俺が振り返ると
 「あ・・・千石さん・・・ですよね・・・」
 先ほどの二人と同じ制服を着たオレンジの明るい髪をした学生が立っていた。
 「うん正解。」
 「あ、いきなりすいません。俺聖ルドルフの…」
 「あは。知ってるよ裕太君。不二裕太君だよね。」
 「あ・・・はい よくご存知でしたね。」
 「まね。千石クンの情報力をなめちゃいけないよ。」
 ・・っておどけてみせた。
 「ところで、裕太君。何であの二人騒いでんの?」
 「え、、あ、、俺が兄貴に服装のことでとやかく言われたって話したらいきなり…」
 「え〜っ。全然脈略がないじゃん。」
 「そう思うんですけどね・・・ なんか気まずいこといっちゃったみたいで…」
 「気まずいこと??禁句かな・・・・・・ね、もしかして地味とかいっちゃった?」
 「え?あ?もしかしたら、言ったかも知れません・・・」
 「あ〜だめだめその単語言っちゃ。あの二人『地味’s』だけど”地味”って言われてるの気にしてるから」
 「すみません…おれ、知らなくって…」
 「う〜ん。まっ知らなきゃしょうがないよね。でも二人とも結構発散した見たいだから直に落ち着くよ」
 「そうなんですか?」
 「そうそう。いつもそうだから。まぁ俺たちもいつまでもここにいてもしょうがないしとっとと帰ろ♪」
 「え。あの人たちをほって置いちゃっていいんですか?」
 「平気、平気だって。さっ行こう!」
 
 その後俺は引きずられるようにゲームセンターだとかファーストフードめぐりとかナンパとか(///兄貴や観月さんにばれたら殺されそう…)ちょっと派手な放課後を経験した。
 
 
 「禁句か・・・」
 夕食の後、寮のベッドで転がりなから今日のことを思い出してみた
 越前のおかげで弟という単語にも少し抵抗を覚えなくなってきた
 あの二人にとっての地味は俺にとっての弟という言葉と同じ意味を持っていたのかもしれない。
 だとすれば・・・
 何気なく言ってしまったあの言葉に俺はかなり罪悪感を覚えてしまった。
 「今度二人に会ったらきちんとあやまろう。」
 そしてその言葉を克服できるように協力しよう
 と、俺は思った。
 あ、でも千石さんがいれば平気かな?
 帰りの千石さんとの行動を思い出しながら俺はゆっくり眠りに落ちていった。
 
 
 
 

 南+裕太がいつのまにか周→裕、裕太+千石になってしまった…
 南と裕太にはまたどこかでゆっくりお話させたいと思います
 20040728 saga
TOPへ